
大学紹介動画を10分で作るコツ10選:ストーリー性と情報量を両立させる秘訣
はじめに
動画マーケティングが進む中、大学紹介動画の需要も高まっています。なかでも10分程度の動画は、「見ごたえ」「理解度」「ストーリー性」のバランスを取れる尺として注目されています。短尺動画(1分〜3分程度)と比べると制作コストや撮影労力は増えますが、その分、大学の魅力を深く丁寧に伝えられるのが大きな強みです。
たとえば、充実した研究設備や学生生活のリアルな様子、在校生・卒業生の声などを通じて、受験生や保護者、企業・地域社会、さらには海外の留学生候補など、幅広いターゲットへ向けて大学の姿をより詳しく紹介できます。
本記事では、10分程度の大学紹介動画を制作する際に押さえておきたい10のポイントを中心に、動画活用のメリット・制作フロー・注意点などを解説します。短尺動画や長尺動画との違いを理解しながら、10分という尺をいかに活かして、視聴者に強い印象を与えられるかを考えていきましょう。
1. 10分動画のメリットと注目される背景
1-1. 情報量と理解度の両立
1分〜3分程度の短尺動画はテンポが良くインパクトが強い半面、伝えられる情報量に限りがあります。これに対して10分ほどの動画なら、大学の特徴や強みを複数の角度からしっかり伝えられるというメリットがあります。
- 複数の学部・学科をダイジェストで紹介する
- 研究室やサークル活動など学生生活を具体的に映し出す
- キャンパス内の主要施設を巡りながら解説する
情報量を確保しつつ、視聴者が大学の雰囲気や理念を理解しやすい構成にしやすいのが10分動画の強みです。
1-2. ストーリー性を持たせやすい
10分という尺があれば、ストーリーを盛り込みやすいのも特徴です。大学の歴史や理念、学生の成長の過程を物語形式で描いたり、インタビューを織り交ぜたりすることで、視聴者に“物語を追体験”させるような演出が可能になります。単なる「施設紹介」「学部紹介」の羅列に留まらず、大学の世界観を深く味わってもらうことができます。
1-3. 大学ブランドの訴求力強化
10分の動画は、受験生向けだけでなく、大学のブランディングツールとしても活用しやすいです。学術的な取り組みや社会貢献活動、卒業生の活躍なども織り交ぜながら、大学全体の社会的意義やブランドを映像とストーリーで伝えることで、企業や地域社会、海外の教育機関など様々なステークホルダーからの認知度向上にもつながります。
2. 大学紹介10分動画のポイント10選
それでは具体的に、大学紹介動画を10分でまとめる際に押さえておくべき10のポイントを解説します。短尺でも長尺でも通じる部分はありますが、特に10分動画ならではのコツを中心に紹介します。
ポイント1:明確な構成・ストーリーボード作成
10分間の動画は、短尺動画より尺が長い分、構成が曖昧だと視聴者が途中で離脱してしまうリスクがあります。最初にしっかりとストーリーボード(絵コンテや台本)を作り、以下のような流れを決めておきましょう。
- オープニング(導入):大学名や印象的な映像、キャッチコピーなどで一気に引き込む
- 本編(中心部分):大学の特色や魅力をテーマ別に紹介(学部・研究・学生生活など)
- まとめ・エンディング:視聴者が行動を起こしたくなるような締め方(問い合わせ、オープンキャンパス参加など)
シーンごとの秒数配分を大まかに決めておくと、撮影や編集の段階で方向性がぶれず、視聴者がスムーズに内容を理解できるようになります。
ポイント2:ターゲットを意識した内容設計
大学紹介動画の主な視聴者は、受験生や保護者ですが、10分動画はそのボリューム感ゆえに、以下のような多様なターゲットにも届きやすいです。
- 企業・社会人:共同研究や社会連携の可能性を探っている
- 地域住民・自治体:地域への貢献度や大学の活動に興味がある
- 海外の大学・留学生候補:国際交流や英語プログラム、留学制度などに関心がある
ターゲット層によって強調したいポイントが変わるため、どの層に特に見てもらいたいかを定め、構成に反映させると効果的です。
ポイント3:情報の取捨選択と優先順位づけ
10分もあると、多くの情報を盛り込みたくなりますが、詰め込みすぎには注意が必要です。学部数が多い大学などは、すべてを網羅しようとすると内容が散漫になり、視聴者が飽きてしまう恐れがあります。
- 大学の強み:特化した研究、ユニークなカリキュラム、社会的評価など
- 魅力的な学生生活:サークル活動、留学プログラム、キャンパスライフ
- 最先端の施設・設備:新しい研究棟や実習施設、学食など
こうしたポイントの中で何が最優先かを明確にし、必要に応じて別の動画(短尺版など)やWebサイトに誘導する形で全体像をカバーするのも一つの手段です。
ポイント4:ストーリー性・ドラマ性を持たせる
10分動画は、ストーリーを展開する時間的余裕があります。以下のようなアプローチでドラマ性を高めると、視聴者の印象に強く残ります。
- 1日の流れを追体験:学生や教授の1日に密着し、キャンパス内の様子や授業の様子をリアルに伝える
- プロジェクトや研究を追う:ある研究室やプロジェクトチームが課題に挑み、成果を出すまでの過程を描く
- 在校生や卒業生の“物語”:大学で学んだことが将来どのように活きているのか、エピソードを通じて紹介
物語性を含んだ構成は、単なる情報羅列よりも感情を動かし、記憶に残りやすくなります。
ポイント5:インタビューの活用
10分の動画尺があれば、インタビューシーンをしっかり取り入れることができます。
- 在校生:実際の授業内容やサークル活動、キャンパスライフのリアルな声
- 卒業生:大学で学んだ経験が社会でどのように活かされているか
- 教授・教職員:研究内容の紹介や大学の教育理念・特色
インタビューで伝わる“生の声”は、受験生・保護者にとって大きな説得力があります。映像で表情や熱量を伴って伝えられるため、パンフレットにはないリアリティを提供できるでしょう。
ポイント6:キャンパス内外の多彩な映像
10分動画の魅力を最大化するには、多彩な映像素材をバランスよく織り交ぜることが大切です。
- 講義や実習の様子:学生が実際に学んでいるシーン
- 施設紹介:図書館、実験室、体育館、食堂、学生寮など
- イベントシーン:学園祭やオープンキャンパス、部活動やサークルの大会
- 地域や周辺環境:大学が立地する街並みや自然の風景
特に遠方の受験生にとっては、大学がある地域の雰囲気を感じ取ることは重要な要素です。大学を取り巻く環境やアクセスのしやすさ、暮らしやすさなども映像で伝えられるとよいでしょう。
ポイント7:編集でテンポと長さを調整
10分動画といっても、実際には視聴者の集中力を考慮したテンポ作りが必要です。
- カットの切り替えは状況に応じて適度に行い、だらけないように
- テロップや字幕を活用して、重要な情報をわかりやすく表示
- BGMの切り替えや効果音でメリハリをつける
特にインタビューシーンが長すぎると中だるみしがちなので、映像(Bロール)を差し込むなどの工夫でテンポをキープします。10分という尺の中でも、「一気見」できるようなリズム感を意識しましょう。
ポイント8:ブランディング要素を散りばめる
大学紹介動画は、**大学の“顔”**として世界中に公開される可能性があります。したがって、大学のブランドカラーやロゴ、メインキャッチコピー、教育理念などを要所要所でアピールし、映像全体に一貫したトーンを持たせることが大切です。
- オープニングやエンディングで大学ロゴを印象的に表示
- ブランドカラーをテロップや演出でさりげなく使用
- 大学のスローガンや理念をナレーションや字幕で補足
「この映像を見れば、この大学の雰囲気が分かるし、理念や強みも何となく理解できる」という状態を作るのが理想です。
ポイント9:視聴者のアクションを促す仕掛け
10分動画を見終わった視聴者に何をしてほしいのか、明確にアクションを提示しましょう。
- オープンキャンパスの案内:開催日や申込方法の告知
- 公式サイトへの誘導:学部案内や入試情報、研究成果紹介ページへのリンク
- SNSのフォロー:最新情報やイベント告知をSNSで配信している場合
特に受験生や留学生志望者向けには、問い合わせフォームや資料請求の案内を提示することで、行動につながる可能性が高まります。
ポイント10:効果測定と定期的なアップデート
動画を公開したら、それで終わりではありません。どれだけの人が視聴しているのか、どの部分で離脱が多いのかなどを分析し、次の制作や修正に活かすことが重要です。
- YouTubeやSNSのアナリティクスを活用
- 視聴完了率や再生回数、コメントやいいね数をチェック
- 新しい施設やカリキュラムができたら動画も更新検討
大学の情報は変化していくので、定期的なリニューアルや新しいカットの追加を検討すると、常に新鮮な映像でアピールできます。
3. 10分動画の活用シーンとメリット
3-1. 大学公式サイトや入試情報ページ
10分動画は、大学公式サイトのトップページや入試情報ページで特集コンテンツとして掲載するのに最適です。短尺動画がダイジェスト的な役割を果たすのに対し、10分動画ではより濃厚な情報を一気に提供できるため、興味を持った受験生や保護者がじっくり視聴してくれます。
3-2. オープンキャンパスや説明会で上映
進学説明会やオープンキャンパスの冒頭に10分動画を上映すれば、大学全体の概要を短時間で理解してもらえます。その後、ブース見学や個別相談をする流れを作ると、参加者が要領よく大学の魅力を把握しやすくなります。対面式のイベントでも、まずは動画でインパクトを与えると効果的です。
3-3. SNSやYouTubeでの配信
10分の動画はInstagramリールやTikTokといった超短尺プラットフォームには合わない部分もありますが、YouTubeやFacebookであれば問題なく配信できます。最近はYouTubeが検索エンジン化しているため、大学名や学部名のキーワードを盛り込んだタイトル・説明文を設定すれば、検索流入も狙いやすくなります。
3-4. 海外向けPR
留学生の募集や海外大学との連携を進めたい場合、10分動画は「大学の総合的な姿」を見せるうえで大いに役立ちます。英語字幕や英語ナレーションを付けて多言語対応にすることで、海外の視聴者にも伝わりやすくなります。
4. 制作フローの例
ここでは、10分大学紹介動画の大まかな制作フローを例示します。
- 企画立案
- 目的・ターゲットの整理
- 動画の方向性・コンセプト決定
- ストーリーボード作成
- 大まかなシーン構成と秒数配分
- 使用するBGMや演出のイメージ検討
- 撮影準備・スケジュール作成
- インタビュー協力者の選定(教授・学生・卒業生)
- キャンパス内外の撮影許可手配
- 撮影機材、スタッフ、天候・時間帯の調整
- 撮影
- インタビュー(重要:クリアな音声収録)
- 施設・設備、イベント、街並みなどの素材撮影
- ドローン撮影(許可が必要な場合は事前申請)
- 編集(仮組み→本編集)
- カット割り、BGM挿入、テロップやナレーション挿入
- テンポ感とストーリー性を重視
- 色調整・音量調整などの仕上げ
- 試写・フィードバック
- 学内関係者(広報、教授、学生など)で試写し、誤字脱字や表現のズレを確認
- 改善点を反映して最終版を完成
- 公開・プロモーション
- 大学公式サイト、YouTubeチャンネル、SNSで配信
- オープンキャンパスや合同説明会で上映
- 効果測定とブラッシュアップ
- 視聴回数や視聴維持率、問い合わせ数などを分析
- 必要に応じてリニューアルや追加撮影を検討
5. 制作時の注意点
5-1. 権利関係のクリア
動画に使用する音楽、写真、映像素材などは、著作権や使用許諾をしっかりと確認しておきましょう。キャンパス内でも個人が特定される映像を撮る場合、肖像権の許可を得ておく必要があります。特に外部の映像や音楽を使用する際は、ライセンス契約などを怠らないよう注意が必要です。
5-2. 長尺ゆえの中だるみ防止
10分動画は短尺に比べると、どうしても中だるみが発生しやすいです。インタビューをダラダラ流すだけでは飽きられてしまうため、Bロール(施設や風景のカット)やテロップ、BGMの変化などを入れてリズムを作る工夫を忘れないようにしましょう。
5-3. 情報の更新と維持管理
大学はカリキュラムや設備が定期的にアップデートされることがあります。新学部や新コースの誕生、施設の改装など、映像との不一致が生じることがあるので、定期的に点検し、必要があれば動画を差し替えたり編集し直したりする必要があります。
6. まとめ
10分という尺は、大学紹介動画において情報量とストーリー性を両立できる絶妙な長さだといえます。短尺動画のようにインパクト重視ではなく、大学の魅力を深く伝えたい場合に最適です。
- 学生生活のリアルな様子や研究内容、教授・卒業生の声をしっかり盛り込み、視聴者に「この大学をもっと知りたい」「ここで学んでみたい」と思わせる。
- ストーリーボードをしっかり組み、ポイントを絞ってテンポ良く編集することで、最後まで興味を持って見てもらいやすくなる。
- オープンキャンパスや公式サイト、YouTubeなどのさまざまな場で活用しやすく、大学のブランドイメージ向上にも効果的。
本記事で紹介した10のポイントを参考に、ぜひ「10分で大学の魅力を余すところなく伝える」映像制作を目指してみてください。制作後は効果測定を行いながら、必要に応じてアップデートを重ねることで、常に最新の大学像を発信できます。受験生だけでなく、多様なステークホルダーに向けて大学の価値を強く印象づける武器として、10分大学紹介動画を活用していきましょう。
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