ブランディング戦略に基づく大学広報事例:オープンキャンパスと募集広報の成果を伸ばした「軸づくり」と「導線設計」
大学広報は、パンフレットを刷新したり、SNSを頑張ったり、動画を作ったりと「やること」はたくさんあります。ところが、施策を増やしても思うように成果が出ないケースは少なくありません。理由はシンプルで、施策の前に決めるべき“軸”が曖昧なまま発信が増えてしまうからです。発信が増えるほど情報は散らかり、受験生や保護者にとっては「結局どんな大学なのか」が伝わりにくくなります。
今回紹介するのは、ブランディング戦略に基づく大学広報事例として、オープンキャンパスや募集広報の実績を改善し、最終的に記事下の問い合わせボタン(CV)につながる導線を整えた取り組みの流れです。個別の大学名や数値は伏せますが、中規模私立大学で実際によく起きる課題と、改善の考え方をできるだけ具体的にまとめます。
取り組み前に起きていた課題:情報はあるのに、選ばれる理由が弱い
この大学は学部数も多く、就職支援や留学制度、資格支援など“売り”になりそうな要素が豊富でした。一方で、広報物を見ても、SNSを見ても、オープンキャンパスの告知を見ても、メッセージが毎回変わる状態でした。
よくある状況として、次のような問題が重なっていました。
・学部ごとに言っていることが違い、大学全体の印象が統一されない
・強みを並べるだけで、誰にとっての価値かが曖昧
・オープンキャンパスの告知がイベント情報中心で、参加後のイメージが湧きにくい
・サイトやSNSから予約ページに行けるが、決め手となる情報(不安解消・比較材料)が不足
・担当者が頑張って投稿しても、予約や資料請求などの成果に結びつきにくい
最初にやったのは“制作”ではなく、“ブランドの一本筋”をつくること
この段階でいきなり動画やLP制作に入ると、見栄えの良いものは作れても、伝える内容がブレたままになります。そこで最初に行ったのが、大学としての一本筋を言語化する作業です。
ポイントは、強みを増やすのではなく、絞って深くすること。
たとえば「就職が強い」「学びが実践的」「学生サポートが手厚い」は多くの大学が言います。同じ言葉を使うなら、受験生の頭の中では差がつきません。差がつくのは、その大学が“なぜそれを実現できるのか”の根拠や、らしさが一貫して伝わったときです。
この事例では、次の3点を整理しました。
・大学が約束する価値(入学前に期待してよいこと)
・その価値を支える仕組み(教育設計、現場、支援体制、文化)
・卒業後にどうなっているか(学生の変化の言葉で語る)
難しい言い方にするとブランドコアの設計ですが、やっていることは「大学の説明を、ひとことで言える状態にする」ことです。ひとことで言えない大学は、100の情報を出しても伝わりません。
ターゲットを“受験生だけ”にしない:意思決定の現実に合わせる
大学選びは、受験生本人だけで完結しません。保護者の納得、高校教員の後押し、友人の評判、SNS上の雰囲気など、複数の要因が絡みます。そこでターゲットを次の3層で設計し直しました。
・受験生:行きたいと思える直感と、比較できる材料
・保護者:安心できる根拠(学費、就職、通学、生活、サポート)
・高校教員:進路指導で勧めやすい、教育の一貫性と実績の説明
同じコンテンツでも、刺さるポイントは違います。例えば動画でも、受験生向けは“空気感とリアル”が重要で、保護者向けは“制度と根拠”が重要になります。誰に向けて何を解消するのかを先に決めると、制作物の構成が自然に整い、ムダな修正も減ります。
オープンキャンパスの成果を伸ばす鍵は「イベント告知」ではなく「参加したくなる理由」
オープンキャンパス告知が弱い大学は、日程やプログラムの案内が中心になりがちです。しかし受験生が知りたいのは、参加後に自分の進路がどうクリアになるかです。
この事例では、告知の主役を次のように変えました。
変更前:
・何月何日、何ができる、参加特典、申し込みはこちら
変更後:
・この大学の学びは何が違うのか
・自分に合う学部の選び方が分かる
・入学後の学生生活が具体的に想像できる
・不安(学費、就職、勉強についていけるか)が解消できる
・その場で相談できる、迷いが前に進む
つまり、オープンキャンパスを“イベント”ではなく“意思決定を進める場”として再設計しました。
募集広報で効いたのは、コンテンツの役割分担:1本で全部伝えない
よくある失敗は、1つの動画や1つのページに、大学の魅力を全部詰め込むことです。情報量が多いほど、視聴者は何も覚えられません。
そこで、コンテンツを役割で分けました。
・第一印象を作るコンテンツ:短尺で世界観、雰囲気、らしさ
・比較検討を助けるコンテンツ:学びの中身、支援制度、進路実績
・不安を解消するコンテンツ:保護者向け、費用、奨学金、生活サポート
・背中を押すコンテンツ:在学生のリアル、入学後の変化、卒業後の姿
特に有効だったのが、在学生の言葉を“美談”で終わらせず、大学の仕組みとつなげて語ることです。たとえば「成長しました」で終わるのではなく、「どんな授業・どんな支援・どんな環境があって、どう変わったのか」まで描く。ここがブランドの根拠になります。
導線設計でCVが変わる:見てもらうだけで終わらせない
良いコンテンツを作っても、導線が弱いと成果は出ません。この事例で改善したのは、SNSや動画から予約ページに飛ばすこと自体ではなく、飛んだ先で迷わせない設計です。
具体的には、次のような導線の整理を行いました。
・入口(SNS、広告、動画、サイトトップ)ごとに、届ける情報の順番を変える
・予約ページの前に“納得の材料”を置く(初めての人向けの要点整理)
・予約ボタンを押す直前に不安を潰す(服装、持ち物、保護者同伴、当日の流れ)
・迷う人向けに別の選択肢を用意(オンライン説明会、個別相談、資料請求)
さらに重要なのが、成果地点を明確にすることです。このメディアの場合、記事下の問い合わせボタンがCVになります。だからこそ、読み終えた人が「自分も同じように改善できそう」「うちの大学の場合はどう設計すべき?」と感じたタイミングで、自然に問い合わせへ進める流れが必要です。
施策の結果:オープンキャンパスと募集広報の“質”が上がった
この取り組みで起きた変化は、単に予約数が増える、フォロワーが増える、再生数が伸びる、といった表面的な数字だけではありません。
現場で実感が出やすいのは次のポイントです。
・オープンキャンパスの参加者が「なんとなく参加」から「目的を持って参加」に変わる
・当日の相談内容が具体的になり、個別相談や学部相談の満足度が上がる
・募集広報でよくある質問が減り、問い合わせが“検討の初期”から“比較の終盤”に寄る
・広報担当内の判断基準が統一され、制作物のブレと手戻りが減る
結果として、オープンキャンパスや募集広報の実績が改善し、最終的に問い合わせ(CV)につながる確度も高まりました。数値は大学の状況で変わりますが、少なくとも「コンテンツは出しているのに成果が出ない」状態から、「成果につながる出し方が分かる」状態へ移行できたことが最大の価値でした。
同じ悩みを抱える大学広報が、最初に見直すべきチェックポイント
最後に、この事例を他大学でも再現しやすい形でチェック項目にします。制作に入る前に、ここが揃うだけで成功確率は上がります。
・大学としての一本筋が、ひとことで言えるか
・その一本筋を裏付ける根拠(仕組み、事例、学生の変化)があるか
・受験生、保護者、高校教員で“刺さるポイント”を分けているか
・オープンキャンパスを「参加したくなる理由」で語れているか
・コンテンツの役割分担ができているか(印象、比較、不安解消、背中押し)
・入口から予約、問い合わせまでの導線で、迷うポイントを潰せているか
・CV地点(問い合わせ、予約、資料請求)に向けて、読み終えた後の一歩が自然か
まとめ:ブランディング戦略に基づく大学広報事例が示すのは、作る前の設計が9割ということ
大学広報は、魅力がないから難しいのではありません。魅力が多すぎて、伝え方が散らかるから難しくなります。だからこそ、ブランディング戦略に基づく大学広報事例で重要なのは、制作物そのものよりも、一本筋の言語化と導線設計です。ここが整えば、オープンキャンパスも募集広報も、同じ発信量でも成果が変わります。
弊社について
大学の魅力を「らしさ」と「根拠」で伝え、オープンキャンパスや募集広報の実績改善までつなげたいなら、動画制作.jpがブランディング設計から制作・運用までまとめて支援します。
記事下の問い合わせボタンから、現状の課題と目標(オープンキャンパス予約、資料請求、個別相談、出願など)を送ってください。貴学の状況に合わせて、最短で成果に近づく設計案を整理してご提案します。
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